Eight Door Coffee は、果実とコーヒーを掛け合わせた「フルーツコーヒー」を扱うネットショップです。トップページを開いてまず目に入るのは、焙煎されたコーヒー豆と立ちのぼる湯気をとらえた大きな写真で、その中央に白抜きのロゴが重ねられています。写真の深い色みと、丸みを帯びたロゴの文字が重なることで、扱っている商品の性格が最初の一画面で伝わってきます。
この記事では、Eight Door Coffee のサイトを Web デザインの見本として取り上げます。配色、ファーストビューの構成、商品一覧のレイアウト、購入前に必要な情報の並べ方という観点から、画面上で確認できる要素を順に読み解いていきます。ネットショップの見せ方を検討している方が参考にしやすいよう、それぞれの表現が読み手にどう働くのかもあわせて整理します。
ファーストビューが伝えるブランドの温度感
Eight Door Coffee のトップページは、説明文を積み上げるよりも先に、写真とロゴで空気をつくる組み立てになっています。文字量を抑えたぶん、背景写真の質感とロゴの存在感が画面を支えており、訪れた人が「どんな飲み物を扱う店なのか」を直感的に受け取れる設計です。ここでは背景の写真とロゴまわりの扱いを分けて見ていきます。
焙煎豆と湯気の写真を全面に敷いた背景
画面の上部には、焙煎されたコーヒー豆を敷き詰めた写真が全面に広がっています。上端に向かうほど湯気の白がやわらかく混ざり、こげ茶から黒に近い色へと落ちていくため、上に置かれた白い文字とロゴがはっきり浮かび上がります。背景写真の明度をそのまま使うのではなく、暗く落ち着いた領域を上部に確保している点が、可読性を守る工夫になっています。
この背景写真は最上部だけで終わらず、商品一覧の前半までスクロールしても左右の余白に覗き続けます。中央に置かれた商品バナーの列を写真が縁取る形になり、一覧に入っても世界観が途切れません。ページの中盤から背景が白へ切り替わるため、前半は雰囲気を伝える区画、後半は情報を落ち着いて読む区画という役割の違いが、色の変化だけで表現されています。
中央に配置したロゴとタグライン
ロゴは画面の中央上部に大きく配置されています。「Eight Door」と「Coffee」を上下に組み、その間に鳥のイラストを挟んだ構成で、下には英字のタグラインが添えられています。文字の太さがそろったラウンド系の書体と手描き感のあるイラストが同居しており、堅い印象になりすぎず、それでいて雑然としない絶妙な調整がなされています。
ロゴの下にはグローバルナビゲーションが続き、さらにその下へキャッチコピーが二行で置かれています。上から順に、ブランド名、行き先、商品の説明という並びになっているため、視線が自然に下へ流れます。ワインになぞらえた表現で味わいの方向性を先に示してから商品一覧へつなぐ流れは、初めて訪れた人が商品名だけを見ても戸惑わないための下地になっています。
ブラウンとアイボリーで組み立てた配色
このサイトの配色は、コーヒーを想起させる濃いブラウンと、商品バナーのアイボリーという二層で成り立っています。色数を絞りながらも単調に見えないのは、果実ごとの差し色が要所に入っているためです。ここでは背景と商品バナーの関係、そして差し色の使い方を確認します。
背景のダークブラウンと商品バナーのアイボリー
背景に使われている焙煎豆の写真は、全体としてダークブラウンの面として働きます。その上に並ぶ商品バナーはいずれもアイボリーに近いやわらかいベージュで統一されているため、暗い面の上に明るい四角が規則正しく浮かぶ構図になります。明度差がはっきりしているので、一つひとつのカードの輪郭を線で囲まなくても区切りが伝わります。
アイボリーは白よりも彩度が低く、写真の茶色ともなじみやすい色です。真っ白なカードを使った場合に生じがちな強いコントラストを避けながら、紙や焙煎の温かみを感じさせる方向へ寄せています。コーヒーという商材と、果実を使った素朴な世界観の両方に合う色選びだと言えます。
果実ごとの色を使った見分けの工夫
複数の味わいをまとめたセット商品のバナーには、下部に小さな色付きのタグが並びます。りんごは赤、スチューベンは濃い紺、シャインマスカットは緑、バナナは黄、湘南ゴールドはオレンジというように、実際の果実の色がそのままタグの色として使われています。文字を読む前に色で中身の見当がつくため、似た形のバナーが並んでも一つひとつの違いを判別しやすくなっています。
この色分けは商品写真の中の小袋にも反映されており、パッケージの上部に入った果実のイラストとタグの色が対応します。バナー内で二重に同じ情報を示すことで、縮小表示になっても味の構成が伝わる作りです。差し色を装飾としてではなく、識別のための情報として使っている点が参考になります。
商品一覧のレイアウトと情報設計
Eight Door Coffee はネットショップ作成サービスの BASE を利用して構築されており、フッターにその表示があります。用意された枠組みの中でどう見せるかが工夫のしどころになりますが、このサイトは商品バナーそのものを作り込むことで、テンプレートらしさを感じさせない画面に仕上げています。一覧のレイアウトとナビゲーションを見ていきます。
三列グリッドがつくる一覧性
商品は横三列のグリッドで並べられ、カード同士の間隔が一定に保たれています。各カードはほぼ正方形の比率でそろっているため、視線が左から右へ、そして次の行へと規則正しく移動します。商品名の長さが違っても枠の大きさが変わらないので、リズムが崩れません。
グリッド全体は画面の中央に寄せられ、左右には背景写真が残る余白が確保されています。この余白があることで、カードが画面いっぱいに詰め込まれた窮屈さを避けられています。豆のまま販売する商品とドリップパックの商品、単品とセットが同じ列に混在していても、バナー内の書式が統一されているため一覧としてのまとまりが保たれています。
絞り込まれたグローバルナビゲーション
ページ上部のグローバルナビゲーションは、HOME、ABOUT、ALL ITEM、CONTACT の四項目だけで構成されています。英字の大文字を字間広めに配置し、白い文字を背景写真の上に置くことで、装飾を足さずに読みやすさを確保しています。項目数を絞ってあるため、どこを押せばよいか迷いにくい構成です。
右上にはカートのアイコンが小さく置かれ、ナビゲーションとは離れた位置で買い物の状態を確認できるようになっています。主要な移動先は中央、買い物に関わる操作は右上という住み分けは、ネットショップで広く使われている配置に沿ったものです。見慣れた位置に置くことで、説明がなくても機能が伝わります。
商品バナーのフォーマット統一が生む安心感
このサイトで最も特徴的なのは、すべての商品バナーが同じ書式で作られていることです。写真素材を並べただけの一覧とは違い、一枚ごとにデザインされたバナーが並ぶことで、ページ全体がブランドの世界観でそろいます。書体とイラスト、そして補助的な記号の使い方を確認します。
明朝体の商品名と手描き風のイラスト
各バナーの上部には、商品名が明朝体で大きく置かれています。細い線の明朝体は上品な印象を与えやすく、果実を使った飲み物という商材と相性のよい選択です。その下に小さな飾り罫と「フルーツコーヒー」という共通の表記、さらに短い説明文が続き、視線が上から下へ落ちる順番が全カードで同じになっています。
写真のまわりには、果実と葉を描いた手描き風のイラストが左右に配されています。りんごならりんご、ぶどうならぶどうというように、その商品に使われている果実が描き分けられているため、装飾でありながら中身の説明も兼ねています。バナーの下端にはコーヒー豆をかたどった小さな飾りが共通で入り、シリーズとしての連続性を保っています。
種類数を示すバッジの役割
複数の味を組み合わせた商品には、右上に丸いバッジが置かれ、何種類が含まれるのかが数字で示されています。他の要素には見られない丸い輪郭と、名称とは離れた位置取りによって、一覧の中でも自然に目に留まります。商品名を最後まで読まなくても構成が分かるため、比較しながら見るときの負担が軽くなります。
このバッジと下部のフレーバータグを組み合わせると、種類数と中身の両方が一目で把握できます。同じシリーズで内容だけが違う商品が並ぶ場合、文字情報だけでは差が埋もれがちですが、形と色という異なる手掛かりを重ねることで区別しやすくしています。
買う前の疑問に答える情報の置き方
商品一覧の後半には、商品そのものの紹介とは性格の違うパネルが差し込まれています。実際に手元に届いてからどう扱うのか、何が入っているのかという疑問に答える区画で、色と形を変えることで一覧の中でも役割の違いが伝わります。二つのブロックに分けて見ていきます。
番号付きで示された淹れ方の手順
白い背景のパネルには、ドリップパックの淹れ方が番号付きの短い文で並べられています。カップにセットしてから少量の湯を注いで蒸らし、好みの濃さまで注いだあとにパックを外してかき混ぜるという流れが、五つの段階に分けて示されています。文章でまとめずに段階へ切り分けているため、初めて扱う人でも順番どおりに手を動かせます。
右上にはドリッパーを描いた小さなイラストが添えられ、文字だけのブロックになるのを避けています。文字色や罫線には濃いピンクが使われており、それまでのブラウンとアイボリーの画面から色を切り替えることで、ここが説明の区画であることが視覚的に伝わります。
商品表示の表組みが担う役割
手順の下には、商品名や原材料、内容量、賞味期限、保存方法、製造者、所在地といった項目を並べた表が置かれています。項目名と内容を左右二列で区切った素直な表組みで、装飾を足さずに読みやすさを優先した作りです。飲食物を扱うネットショップでは欠かせない情報を、商品ページの一部としてきちんと画面に出しています。
この表にはカフェインを大きく抑えたという表示も含まれており、体質や時間帯を気にする人が判断しやすい材料になっています。写真とイラストで雰囲気を伝える区画と、事実を淡々と示す区画を分けている点は、信頼感につながる情報設計です。ページ下部では、事業者の所在地や問い合わせを受け付ける時間帯、年末年始を休みとすることも示されています。
実物写真とSNSでつながるブランド体験
ページの終盤には、商品を実際に置いて撮影した写真と、SNSへの入口がまとめられています。イラストで構成されたバナーが続いたあとに実物写真を置くことで、商品が手元にある場面を想像させる流れになっています。写真と導線をそれぞれ確認します。
ワイングラスと並べたシーン写真
最後に並ぶ二枚の写真では、濃いピンクのラベルを巻いたパッケージが、赤い飲み物の入ったグラスと一緒に写されています。木の輪切りを台に使い、背景には革張りの椅子が写り込むことで、落ち着いた室内で過ごす時間が伝わってきます。ワインになぞらえたキャッチコピーと写真の内容が対応しており、言葉と画像が同じ方向を向いています。
商品単体を白背景で撮った写真ではなく、使う場面ごと切り取った写真を選んでいる点が、この位置に置く素材として効いています。商品の形はすでにバナーで示されているため、終盤では味わい方を想像させる役割へ振り分ける組み立てです。
フッターに集約された共有とSNSの入口
写真の下には、保存や共有のためのボタンが横一列に並びます。いずれも小さめの角丸ボタンで、本文の邪魔にならない大きさに抑えられています。その下には Instagram のフォローを促す帯が置かれ、紫から赤へと変化するグラデーションの上に白いボタンが重ねられています。
さらに下には Instagram、X、note のアイコンが並び、線画の記号だけで表現されています。色を使った帯と、色を使わないアイコン列を上下に分けることで、押してほしい導線とそれ以外の入口が自然に区別されます。最下部には利用しているサービス名の表示があり、フッターとして必要な要素が過不足なくまとまっています。
青森の果実とコーヒー豆を組み合わせた商品づくり
デザインの背景には、どの果実をどこから仕入れているのかという商品づくりの考え方があります。Eight Door Coffee は季節の果物をまるごと使って発酵させたコーヒーを扱っており、果実の香りとまろやかな味わいを特徴として掲げています。ここでは素材の産地と、コーヒー豆を楽しむための一般的な考え方を整理します。
産地を明示した素材選び
サイトでは、使用している果実の産地と農園名が具体的に示されています。りんごは青森県三戸郡南部町の佐々木農園、さくらんぼは同じく青森県三戸郡南部町の石市農園、ぶどうは青森県弘前市鶴田町、シャインマスカットは東京都町田市の森のチェルト小野路ぶどう園、バナナは台湾のものと記されています。青森出身のオーナーが各地の果樹園の恵みをコーヒーに閉じ込めたという成り立ちが、産地の記載から読み取れます。
青森は果樹栽培が盛んな土地として知られ、りんごをはじめとする果実の産地が各地に点在しています。そうした土地の果実とコーヒー豆を組み合わせるという発想が、他にない商品名やパッケージの表現につながっています。「フルーツコーヒー」は商標として登録されている旨も示されており、独自の商品として育てていく姿勢がうかがえます。卸売にも対応している旨の記載もあります。
コーヒー豆を選ぶときに知っておきたい基本
コーヒー豆は、産地や品種だけでなく、焙煎の度合いや挽き方、抽出時の湯温によって味わいが変わります。浅い焙煎では酸味や果実を思わせる香りが立ちやすく、深い焙煎になるほど苦みとコクが前に出るのが一般的です。果実の香りを楽しみたい場合は、香りが飛ばないように湯温を上げすぎないほうがよいとされています。
Eight Door Coffee が案内している淹れ方でも、沸騰した湯をそのまま使うのではなく、少し落ち着かせた温度で蒸らしてから注ぐ手順が示されています。豆のままの商品とドリップパックの商品が用意されているため、自分で挽いて淹れたい方と、手軽に一杯だけ楽しみたい方のどちらにも合わせやすい構成です。保存については、直射日光と高温多湿を避けて常温で置くという表示が商品表に記されています。
まとめ:Eight Door Coffee のサイトから学べること
Eight Door Coffee のサイトは、写真とイラストの役割をはっきり分け、限られた色数で世界観をそろえた構成が印象的です。焙煎豆の写真で温度感を伝えるファーストビュー、アイボリーで統一した商品バナー、果実の色を借りた識別タグ、そして事実を淡々と示す表組みという四つの要素が、それぞれ別の仕事をしながら一つのページにまとまっています。
ネットショップ作成サービスの枠組みを使いながらも、商品バナーの書式を徹底してそろえることでテンプレートらしさを感じさせない点は、これから自社の通販サイトを整えたい方にとって参考になる部分です。写真素材の明度を意識した文字の置き方や、色を情報として使う考え方は、業種を問わず応用できます。
果実の香りを閉じ込めたコーヒーがどのような画面で紹介されているのか、実際のページで確かめてみてください。青森のコーヒー豆づくりが伝わるEight Door Coffeeの公式サイトを見る







